独神⇔ハンゾウ

 独神が本殿の外廊下を歩いていると、背後で一人分の足音が増えた。
 首を後方へ軽くひねるとハットリハンゾウがぴたりと張り付いてくる。
 耳元でぼそぼそと報告を受けていると、独神はやや大きな声で驚いた。
 
「え! 駄目だったの……?」
 
 小声の意味がない、とハンゾウは呆れて通常の大きさに戻した。
 
「ほら見ろ。やはり己の利益を追求しただろう。貴様が甘さを見せるからだぞ」
「でも、私が支配したって仕方がないじゃない。彼らの不安は理解しているけれど……」
 
 独神は小さく息を零した。
 悪霊に怯える人々の多くは独神の庇護を求める。
 村の全権限を渡す事と引き換えに、安全を保障してくれという要望は各地より毎日届いているのだ。
 
「どうするつもりだ」
「……抱える自信はない。正直手一杯。近くに拠点を作って英傑を配置するのが現実的……いやでも作ると、また揉めるだろうなあ……どうして自分の村の近くじゃないのかって……。それでまた、貢ぎ合戦になるのも……うーーーん」
 
 歩きながら考え込んだ独神は、思わず自分の袴の裾を踏んだ。
 
「っひい!?」
 
 身体が前のめりに倒れていく主に対し、ハンゾウが素早く独神の前に身体を滑らせて抱き留めた。
 そのまま二人は廊下に倒れ、ハンゾウへ独神の全体重が圧し掛かった。
 
「全く貴様は……」
「ご、ごめん……いたた……重……」
 
 二人は同時に違和感を覚えた。
 
「……主?」
 
 と、高い声。
 
「……ハットリハンゾウ?」
 
 と、低い声。
 
「「!?」」
 
 二人はまず身体を起こした。
 目の前の人物を見れば見るほど自分で、そして己の身体は己の物ではない。
 
「……あの」
「しっ。……余計な事を話さないの。良いわね?」
 
 こくこくと"ハットリハンゾウ"は頷いた。
 
「違うでしょ。あなたが普段見ているハットリハンゾウは、そういう事をする人なの?」
「……ち、違います」
 
 目を伏せた”ハンゾウ”は絞り出すように声を出した。
 
「まずは堂々となさい。あと、余計な事を話すくらいなら黙ってなさい。判ったわね?」
「……ああ。すまない、善処する」
 
 ”ハンゾウ”はぼそぼそと小声で答えた。
 "独神"はわざとらしく大きく溜息を吐く。
 
「厄介な事になったわね。まずはお伽番の変更が先決だわ。
  多分文句を言われるだろうけれど、あなたはちゃんと"私らしく"しなさいよ」
「……承知した」
 
 二人は執務室へ向かった。今日のお伽番はハンニャである。
 それも長い間お伽番を務められず、ようやく得たお伽番の座。
 そう易々とは聞き入れられまい。
 
「ハンニャ、ただいま」
「主様、おかえりなさい」
 
 猫なで声で独神の事を出迎えたハンニャであるが、”ハンゾウ”とは目も合わせない。
 なので”ハンゾウ”も気にせず、黙って”独神”の後ろに控えた。
 
「あのね、本当に申し訳ないのだけれど……お伽番変わってくれないかしら?」
「いやよ」
 
 即答だった。
 
「だって、一ヵ月も焦らされたのよ? 新入りが増えたからって……」
「おい、主、ハンニャの言う通りだ。頼むにしてももっと言い方をだな……」
「(主め。俺がそんな事を言う訳ないだろう)」
 
 早速化けの皮が剥がれている”ハンゾウ”に毒づきながら、”独神”はハンニャの手を取った。
 顔を赤らめたハンニャに真っ直ぐと視線を注ぐ。
 
「ごめんなさい。勝手な事を言っているのは承知しているわ。
 でも、どーーしても、解決したい問題があるの。
 ハットリハンゾウはその案件には必要で、彼を一時的にお伽番にしたいの」
「(うわ……最低……)」
 
 あからさますぎるおねだりに独神は自分の外見ながら寒気がした。いや、自分だからこそか。
 ハンゾウから見た自分とはこうなのかと静かに落ち込む。
 
「あ、あの、あ、主様がなんとかしたいのは判ったわ。でも、それなら私の前で話せばいいじゃない。私は主様のお話の邪魔はしないわ。……だから……私を外すなんて、言わないで……?」
「主。俺は構わんから、それでいいだろう」
 
 ”ハンゾウ”の願いは届かず、”独神”はハンニャにぐっと顔を近づけた。
 至近距離。息がかかる距離で、囁く。
 
「……ごめん。埋め合わせは必ずする。どうか、今日の所は私のお願いを聞いて欲しい」
 
 耳まで赤くなったハンニャは後方に飛び退いた。
 
「わ、判った……。約束、忘れないでね。絶対よ……?」
 
 と言って、”ハンゾウ”を般若の様相で睨みつけて去った。
 足音が遠のき、この場に誰もいなくなってから”ハンゾウ”は猛烈に抗議した。
 
「ちょっと!! なにあれ!! あんなの酷くない?もうちょっと説明するとか、何かあるでしょ? 力業にも程があるわよ!! 思わせぶりで人の心を弄んで。いやらしい。最低よ。下劣だわ!」
「ちょっと"ハンゾウ"。もう少し静かにしてくれないかしら?喧しいわ」
「そうやって私の声で言うの止めてよ。気持ち悪い」
「ならあなたもせめて"ハンゾウ"の口調にして頂けないかしら。寒気がするのよね」
 
 ぎりぎりぎりぎり。
 二人はしばし睨み合ったが、程なくして冷静さを取り戻す。
 
「……ともあれ、お伽番の変更は助かった。ありがとう。礼を言う」
「ハットリハンゾウは、ありがとうなんて軽々しく言わないわよ」
「ああそうだな。……ならついでに言わせてもらうが、主はそこまで物言いはきつくないぞ。あな……じゃないや、貴様は今この場だからそういった口調なのかもしれないがな」
「よく判っているじゃない。えらいえらい」
「……貴様から見た独神がそれか? 成程。外側から見た自分というものは存外乖離しているものだな」
 
 口調の確認は終えたが、まだ重要な確認事項が残っている。
 
「さて、ハットリハンゾウ。今日のあなたの予定は何だったの? 私としては出来るだけ誰とも会いたくないのだけれど」
「ああ、来客はいないから安心しろ……いや、貴様の方が知っていたな。知りたいのは英傑との関わりだろう? 幸いな事に予定はない。だが突然話しかけられる事が常だ。くれぐれも用心してくれ」
「なら風邪という事にでもしてあなたが代わりに話しなさい」
「承知した。……それで、ハットリハンゾウの事だが……。今誰かに襲われたらひとたまりもないぞ。身体は軽くて怖いくらいだが、武術の心得のない俺では使いこなせない」
「でしょうね。そうね……ハットリハンゾウが襲われない為には……。英傑が唯一手を出せない独神の私が抱きしめてあげましょうか? ……なんてね」
「そうしよう」
「なっ!? 待ちなさい。冗談に決まっているでしょう。反対に襲われるじゃない」
「少し抱き寄せるだけなら構わんだろう。その程度、他の英傑にもしている事だ」
 
 事も無げに言う”ハンゾウ”に”独神”は「ふうん」と意味ありげに言う。
 
「あなた、そんな複数の英傑に手を出しているの?……私の事、下劣だなんて言う資格があるのかしら?」
「……したいからする。決して意のままに操る為ではない。勘違いするなよ、”主”」
「物は言いようね」
 
 再度睨み合うが、どちらもあっさりと話題を打ち切る
 
「まあいいわ。火急の用はあるかしら?」
「あるにはあるが、ショウトクタイシに投げるのが良いだろう。俺が行ってくる。主は……まあ大人しく座っていてくれ。誰か来ても雑談くらいは出来るだろう?」
 
 いくつかの手紙を持つとさっさと”ハンゾウ”は行ってしまった。
 
「……雑談だけなら良いのだけれど、ね」
 
 ”独神”は少し考え、机上に乱雑に置かれている兵法書を開いた。
 
 一方、”ハンゾウ”はショウトクタイシに疑われる事無く仕事を振り、執務室へ戻る所であった。
 視界の中には何人もの英傑が入ってきたが、一度も呼び止められない。
 
「(嫌われている訳ではなさそうだけれど……。話しかけにくいのかしら)」
 
 ハンゾウの英傑関係は意外と良好だと思っていた。
 嫌味が多く、忍故の冷酷さはあるが、わざわざ場を乱すような行為もしないので、嫌われることはあまりない。
 
「(もしかして影薄い?……そうだ、騒ぐ輪の中にはいつもいない。宴だ戦いだと本殿中が盛り上がっている間も、周囲の警備を受け持ってばかりだわ……)」
 
 気を回さなかったわけではない。だが、いつも断られていた。忍は影だと。
 
「(忍として在る事が生きる意味と言っていたけれど……。私はもっと……)」
 
 独神は頭を振った。
 今の自分は独神ではなく”ハンゾウ”なのだと頭を切り替える。
 
「(ハンゾウはどんな思考であれ顔に出さない。淡々としていなきゃ)」
 
 口元を引き締め、肩の上に乗るナバリに手を伸ばした。
 大人しく撫でられている。
 中身が主人ではないと判っていても、ハンゾウが怪しまれる事が無いようにいつも通り振舞ってくれているのだ。
 
「ナバリ。すまないな」
 
 少し戯れていると、音もなくフウマコタロウが目の前に現れた。
 
「まーた、猫に相手してもらってるの? ほんと、あんたって寂しい奴だよね」
 
 開口一番食ってかかられるが、多分これが日常なのだろう。
 ”ハンゾウ”は落ち着いて返した。
 
「構ってもらいたいのか? ならばそれなりの態度を見せたらどうだ」
「馬鹿じゃないの」
 
 コタロウの事は気にせず、さっさとハンゾウがいる執務室へ戻ろうとすると、行く手を阻まれた。
 
「……なんだ」
「伊賀者が調子に乗らないでよね」
 
 いつ調子に乗ったのか。
 
「独神ちゃんがいくら優しいからって、所詮忍は忍。余計な事考えてないで本分を全うしなよ」
「言いたい事はそれだけか。主を待たせている。……忍とは仕える主の命は絶対なのだろう?」
 
 ハンゾウっぽい嫌味を返しながら、横を通っていく。
 
「……独神ちゃんに忍は相応しくないんだから」
 
 ぼそりと言われた言葉が耳に引っかかって、つい振り向いてしまった。
 
「おい、独神を神格化するな。そんな大層なものじゃない。忍もまた、下層の者ではない。己を卑下するな。独神に言いたいことがあるなら直接言え。溜め込んでいてもろくなことにならんぞ」
 
 あ、と後悔した時には遅い。
 コタロウは明らかに警戒の色を見せた。
 
「あんた……本当にハンゾウ?」
「俺でなければ、ナバリが肩にいるわけないだろう。話は終わりだ」
 
 出来るだけ焦らず、一定の速度でその場を去った。
 廊下を曲がり、誰も見ていない所で、ナバリがハンゾウの頬に肉球をぐりぐりとめり込ませた。
 
「す、すまない。ナバリ。つい。あ、でも気持ちいい」
 
 
 
 ◇
 
 
 
「(主、遅いな……)」
 
 ”独神”は次から次へと訪れる英傑たちをそれなりにさばいていた。
 平素より見ている主の対応は頭に入っている。その通りにすれば、英傑たちを簡単に騙せた。
 
「(サトリであれば見抜かれただろうが、大抵の者は主としか見えまい)」
 
 目の前のセミマルもそうだ。
 盲目故に声に頼るしかないのだから、多少の所作が違っていようとも判るまい。
 
「報告は以上です。失礼致します」
 
 セミマルが部屋を出ようとした時、丁度”ハンゾウ”とすれ違う。
 
「おい。待て」
 
 ”ハンゾウ”はセミマルを止め、座する独神の横に重ねてある本の山の一つを取った。
 セミマルの手を掴み、薄い本をしっかりと握らせた。
 
「主が貴様と約束した琵琶譜だ。返却はいつでも構わんそうだ。持っていけ」
「有難う御座います。主(ぬし)様」
 
 セミマルの顔は”ハンゾウ”を向いていた。
 
「主は亥の方角だ」
「違いますよ」
 
 セミマルは”ハンゾウ”の手を握った。
 
「私の主様はこちらです。でも今日はどうしてハンゾウさんのお声で、いえ身体も異なるようですね。ハンゾウさんも主様に変装なさっているようですし、何かありましたか……?」
 
 ハンゾウと独神は目を見合わせた。
 おずおずと”ハンゾウ”が言う。
 
「……秘密にしてもらえないか」
「承知致しました。お困りの際はどうぞ遠慮なくお声がけ下さい」
 
 あっさりと去っていくセミマルの後姿を二人はじっと眺めていた。
 
「なあ、そんなにおかしな振舞いでもしたのか?」
 
 疑う”ハンゾウ”に”独神”は反論した。
 
「してないわよ。あなたじゃあるまいし」
「まあ、セミマルは耳が良いからな。声帯が同じでも言葉の中にある細やかな違いを察したのだろう。流石だな」
「(屈辱だ。くそっ。セミマルを侮っていた)」
 
 悔しがる独神”とは打って変わり、”ハンゾウ”は笑っていた。
 
「私の失態がそんなにおかしいかしら?」
「いいや、そうではない。セミマルはハンゾウの発声の特徴も覚えていたからこそ、変装を見抜けたのだろう? 俺としては、それが一番嬉しい」
 
 ハットリハンゾウ個人を認識してくれる者がいる事への喜びは、ハンゾウ本人には伝わらなかった。
 
「相変わらず変な人ね。いえ、今更だったわね。"主"」
 
 セミマルには気づかれてしまったが、その後気づく者は現れなかった。
 部屋の中に”ハンゾウ”がいて、助け舟を出せる状況だった事もあるだろう。
 
「(それにしても、どいつもこいつも、主を見れば目の色を変える。主もよくやっていけるものだ。鈍感でなければやっていけないだろう。……いや、鈍感のふりか。やはり。こうじろじろ見られてばかりの状況。影の俺には息が詰まる)」
「(誰にも話しかけられないってこんな感じなのね。新鮮だわ。みんなの横顔を見ると言うのも、なかなか楽しいわね)」
 
 英傑への対応にも慣れた頃。
 普段と違い自由に動けるようになった”ハンゾウ”は、身体を持て余してうずうずしていた。
 そして、とうとうそれを”独神”に伝えた。
 
「主、ちょっと外に出てくる」
「駄目よ。ここにいなさい」
「すぐに戻る。……大丈夫、あなたならやれるわ」
「待ちなさい!」
 
 俊敏なハンゾウの身体を手に入れたのを良い事に、全速力で走り去った。
 もう見える場所にはいない。この時ばかりは、ハンゾウも己の身体能力の高さに毒づいた。
 
「(あの馬鹿……。いつもなら拘束する所だがこの身体では満足に動けない。それに、独神がハンゾウを締め上げる……なんて姿を他の奴らには見せるわけにはいかない)」
 
 駆けて行った独神はハンゾウの身体に歓喜していた。
 
「(ははっ!この身体ならどこまででも行ける! さっすが伊賀衆の頭領! 人の身体がこんなに軽やかなんて初めて知ったわ!」
 
 一人でふらふらと楽しんでいると、背後から声をかけられた。
 
「ハンゾウ。何やら楽しげな様子だが、例の件はどうなった」
「(う。モモチタンバ……。騙せそうにないな……)」
 
 ハンゾウをよく知る人物であり、観察眼の鋭い忍だ。
 慎重な対応を求められるだろう。
 
「問題ない。……いや、気になる事がある。確証を得たら伝える」
「そうか。なら良い」
 
 どきどきである。一番怖いのは偽物と気づかれて始末される事だ。
 この身体はハンゾウの物なので無傷での返却が最重要である。
 だから余計な事は言いたくない。
 しかし。
 厄介な事に、ハンゾウに知られたくない案件をモモチタンバに頼んでいる最中なのである。
 今モモチタンバがハンゾウ扮する独神に報告に行くのは非常にまずい。
 多少危険を冒してでも行かせてはならない。
 
「タンバ。主から内密の用命が下されているそうだな。それについてだが、まだ報告をしてくれるなとのお達しだ」
「……何故だ」
 
 当たり前のようにモモチタンバが警戒心を露わにした。
 
「知らん。俺はただの伝達係でしかない。……確かに伝えたぞ」
 
 殺されてはたまらないと一刻も早く去ろうとする、と。
 
「待て」
 
 やはり、呼び止められた。
 
「どこまで知っている」
「知らんと言うのが聞こえなかったか」
「いや。ハンゾウならば調べているはずだ。俺と主殿の秘密ならば猶更な」
「詮索するなと同時に命を受けた。いくら忍であっても、正式な命令ならば従わざるを得まい?」
 
 じっと見られているここが勝負所。後ろめたい事は何もない。
 堂々と見据えると、やがてモモチタンバは判定を下した。
 
「……ならいい」
「(絶対良いと思ってないでしょ……)」
 
 疑惑の目に屈さず、モモチタンバに背を向けた。
 こう何度もどきどきさせられると、折角の自由が台無しだ。
 独神は大人しく、ハンゾウの下に帰る事にした。
 
 一方そして”ハンゾウ”が脱走した後の”独神”はと言うと。
 
「おや、主(ぬし)」
「(厄介な奴が現れたか)」
 
 部屋に現れたフツヌシを"独神"として、個人的感情を一切殺して迎え入れた。
 
「あら、どうしたの? 今日は討伐がお休みだったでしょう?」
「その通り。主が休んでくれと泣いて縋って頼むもんだからねえ」
「幻覚じゃなくって?」
「照れを隠さずともここには誰もいないさ」
「ふーん」
 
 適当な事ばかりを吹きまくるフツヌシへの対応は、受け流しが主である。
 真摯な対応で評判の独神も、フツヌシだけは適当な扱いなのだ。
 ハンゾウとしてもそれは楽なのだが、真に厄介なのはそちらではなく。
 
「なあ主よ。……ハンニャ殿が泣いていたよ。どうしてだい?」
「……彼女には悪い事をしたわ。少し事情があってね」
「それで、ハンゾウ殿を傍に置いたというのかね。忍をお伽番なんて珍しいではないか」
 
 こういう所だ。
 英傑同士や独神に関する些末な事に気づいては、関係する者に尋ね、目的の情報が得られなければ大事にして周囲を巻き込む。
 争いの種を欲しているのだ。と、ハンゾウはそう解釈している。
 
「秘密。……じゃ、駄目かしら?」
 
 上目遣いで伺うと、
 
「甘美だね。その響きは」
 
 色を瞳に滲ませて、そっと距離を詰め独神の頬を撫でた。
 堅い指が柔肌を蹂躙していく。
 
「(変装ならまだしも。主の身体が触れられるなんぞ不快の極みだ。いっそ今ここで、俺が切り捨ててやろうか」
 
 指先が頬から肩へ、肩から腰へと降りていく。
 五匹の芋虫が這うような嫌悪感を抱いた。寒気がする。
 
「その秘密とやら、私にだけ見せてくれないか。貴殿の中。臓腑まで」
 
 殺気に気づいた時には、もう遅かった。
 フツヌシは至近距離から拳を叩き込み、独神の身体は二つに折れた。
 頭では理解していても独神の身体では回避はかなわない。
 痛みへの耐性も殆どなく、壁を背に倒れこんだまま指一本動かせない。
 そんなハンゾウを見下ろしながらフツヌシは説明した。
 
「知っているかい? 独神というのはね、私たち神に近い存在でもあってね。だから判るのだよ、同族特有の気配がね。なのに貴殿からは一切ない」
 
 妖族からすると食欲をそそる匂いらしいね、と付け加えた。
 
「(妖だけでなく神まで……)」
 
 人族は独神を特別感知できないというのに──。
 
 
 
 
 
「な!?」
 
 ”ハンゾウ”が部屋で見たのは、縛られている自分。
 
「(妙に人がいるなーなんて思ったけれど、まさか、こんな事になっているとはね)」
「おや、ハンゾウ殿。報告なら後にしたまえ」
 
 ”独神”は”ハンゾウ”を見ると、ぷいと顔を背けた。
 なんらかの理由で中身が違う事に気づかれてしまったのだろう。
 こうなっては仕方がない。騒ぐ英傑に構わず”独神”に近づき、目を合わせるためにしゃがみこんだ。
 
「ん。ハンゾウ殿何を……」
 
 フツヌシが怪訝そうに尋ねるが、対話すべきは縛られた独神の方だ。
 
「任務失敗だ。みんなに全部話しましょう?」
「……あなたが失敗と定義するなら、失敗としてやるわよ」
「もう。変なこと言って。フツヌシ、独神の縄を解いてちょうだい」
「それは出来ぬよ。ハンゾウ殿。……それに、今日の貴殿は少し……おかしくないかい?」
「それはそうよ。だって、"ハットリハンゾウ"ではないもの」
「何を言って……」
 
 動揺するフツヌシを独神姿のハンゾウは鼻で笑った。
 
「どうしたフツヌシ。神族の貴様は独神の気配が判るのだろう?」
「え、そうなの? それは初耳だわ。じゃあ、私の力を見せずとも証明出来るのね」
 
 と言ってハンゾウが宙を真横に指でなぞると、部屋の英傑たちは見えない壁に押し出されて、外へ放り出された。
 部屋の中にいるのは、独神とハンゾウの二人のみだ。
 ハンゾウが部屋から姿を現し、外に転がった英傑たちに告げる。
 
「……と、つまりはこういう事だ。この身体はハットリハンゾウのものであるが、中身はわたくし独神で御座いまーす、ってね。信じられないだろうけれど、信じてもらえるかしら?」
 
 当然信じてもらえなかった。
 しかし、独神の不可思議な力と、各英傑と独神だけの秘密の数々を匂わせていくと、英傑たちは嫌でも現実を受け入れるていく事となった。
 
「──と、説明は以上です」と、ハンゾウ姿の独神が言った。
「主の言った事が全貌だ」と、独神姿のハンゾウが言った。
「こちらも説明した通りだよ」と、フツヌシが疲れた様子で息を吐いた。
 
「……そう。私の身体を思い切り殴ってくれたのも事実なのね」
「悪かったね。てっきり変装や変化だと思ったのだよ。しかし、それがまさか身体は本物だとはねえ」
 
 じろじろと無遠慮に独神の身体を眺め、にやりと笑った。
 
「どうかね、愛しい主の身体は? 新たな発見でもあったかな?」
「あなたに触れられると主は鳥肌が立つ、という事が今日の発見ね」
 
 フツヌシはひくついた。
 
「身体のせいじゃないでしょ。だって私は普段そんな事にならないわよ?」
 
 と、ハンゾウ声で即座にばらされ、独神は舌を打つ。
 
「はは、私もどうせ抱き寄せるなら中身まで本物が良かったよ。せめてもっと麗しい……ああ、貴殿が美しくないというわけではないよ。ふふ」
「あら残念。私も抱かれるならまともな方が良かったわ。変態神族だなんて願い下げよ。ほんと寒気がするったらありゃしないわ」
「私の声で煽るの止めて欲しいな……」
「なら主も私の声でひ弱な情けない声出さないで頂けるかしら。……気が滅入る」
 
 ナバリは本来の主人の肩に乗る事が出来て嬉しそうにしている。
 
「とにかく、ハンゾウと私は傍にいるわ。それは了承してちょうだい」
「それは構わないよ。ただ、今後の生活はどうするんだい?」
「対外的なものならハンゾウが既に把握しているから平気よ。不安だったものは対英傑だったから」
「可愛いね、我が主は。清らかなのは良いが、果たしてそこの忍は貴殿の身体をどう扱うだろうか」
 
 言わんとする事が判らないと、”ハンゾウ”は”独神”に助けを求めるように見た。
 事も無げに”独神”は教えた。
 
「風呂はどうする気?」
「……え」
 
 ”ハンゾウ”は固まった。
 
「私は主の身体なんて見飽きているから良いけれど」
「……。や。……やだ……。お風呂もだけど、あの…その…」
「ちなみに既にこの身体で用は足したわよ」
「ひあ!? 待って待って! 私まだ。て言うか、ええ??」
「主が本殿で粗相をしたなどという辱めは辛かろうという私なりの優しさよ。これも任務の内とは言え、感謝してもらいたいくらいだわ」
「ううっ……素直にお礼言いたくない。もうお嫁に行けない」
「ならばわた、」
「婿を取るか、嫁をもらいなさい」
「そうする」
「……」
 
 ハンゾウと独神の入れ替わりについて本殿中に周知された事で、本殿はまたいつも通りの時間が流れ出す。
 だが、二人の変化に気づかず接していた者達は──。
 
「ハンゾウが独神ちゃん……って事は、さっきの」
 
 コタロウはハンゾウが見ていない所で、ハンゾウ姿の独神に先のやり取りを確認した。
 独神は肯定する。
 
「……ごめんなさい」
「……ははっ、そっかー……」
 
 気まずそうに苦笑いをするコタロウに、独神は出来るだけ明るく言った。
 
「またお話しましょ。身体が戻ってから」
「気を遣わないでよ。……また勝手に部屋に行くからさ、その時は相手してくれる?」
「勿論よ。待ってるわ」
 
 ばいばいと手を振ってコタロウは姿を消した。任務に戻ったのだろう。
 居心地の悪さを解消するには、丁度いいはずだ。
 
「主殿」
 
 声だけが聞こえる。モモチタンバの声だ。
 
「……報告は身体が戻ってから聞くわ」
「御意」
 
 忍への用が済むと、独神は執務室へ戻った。
 ダイダラボッチとハンゾウが言い争いという程でもないが、言い合いをしている。
 
「ぼっちちゃんの姿だからって、変な事すんなよな!」
「あら、変な事とは何かしら。はっきり言ってくれなきゃ判らないわね。あなたは私の身体でどんな事を想像したのかしら?」
「そ、そそ、そそそう言う事をぼっちちゃんの声で言うの止めろっての!」
「しーらない。あなたなんてだーいきらーい」
「……なっ……。アンタ、姿戻ったら覚えてろよな!」
「ふふ、もう忘れちゃったわ」
「ハンゾウ! 俺の姿で遊ばないでよ!」
 
 もう中身が知られてしまった事でたがが外れたのか、ハンゾウは好き放題に振舞っていた。
 普段腹に据えかねている事でもあるのか、それとも入れ替わりを見破られた事の憂さ晴らしか。
 独神としては自分の身体の悪用は直ちにやめて欲しいものである。
 
「(でも、ハンゾウが戦以外で楽しそうにしている事ってないし。……偶には良いのかしらね)」
 
 
 
 ◇
 
 
 
 妙竹林な一日が終わろうとしていた。
 最後に残る大きな課題は──。
 
「お風呂? 別に一日くらい良いじゃない。……と、言いたいところだけれど、明日は客人がいたのよね」
 
 ハットリハンゾウは独神姿で肩を竦めた。
 
「そうだ。対外的には英傑を統べる存在だからな。身嗜みには気を遣っているんだ」
「仕方ないわね。じゃあ、私が目隠しするから主が私の身体を好き勝手になさいな」
「言い方には気を付けてくれ。……とても嫌な気持ちになる。それに、恥ずかしい……」
 
 事情が事情だからと、大浴場を一時貸し切り二人だけで入浴する事となった。
 ”独神”は細長い布で目元を覆うように結ぶと、さっさと服を脱ぎ始めた。
 
「きゃああ!! 待って! 待って待って! 躊躇いって言葉をご存じないの!?」
「……英傑を待たせているから手早く行えと言ったのは主ではなかったかしら?」
「そうだけど。そうだけど……そうでした。ナンデモナイデス」
 
 目の前で自分ではない自分が裸体を晒す過程を見させられて、羞恥心が上限突破する勢いである。
 ハンゾウ自身は独神に対して特別な感情はなく、ただ任務を遂行しているだけではあるのだが。
 
「(自分で脱いで裸を見られるのと同じくらい恥ずかしい……。そりゃ、ハンゾウは私の着替えなんて飽きるほど見ているだろうけれど……。でもなんだか、穢された気分だわ。こんな事を考えてしまう自分も嫌……。ハンゾウは巻き込まれただけなのに)」
 
 悶々と考える独神に対し、ハンゾウは言うと。
 
「(脱衣の際、手が身体に触れる部分を最小限に留めておいたが……。この様子だと主は気づいていまい。どうせ下らない羞恥心が頭を占めているのだろうが……。まあ、それも悪くない)」
「ハンゾウ……。ハンゾウの服よく判らなくて脱げない……」
「はぁ……貴様は……。判った。そのまま動くな」
 
 脱ぎ方を間違えれば毒針が刺さったり、火薬に引火するような物騒な忍び装束を脱がせてもらい、
 二人は非常に疲れた気分で風呂への一歩を踏み出した。
 だが、大変なのこれからである。
 
「びっくりしないでね……。触るよ?」
 
 ハンゾウが独神の身体に触れられない以上、独神が自身を洗うしかないのだ。
 
「(っ……。気色の悪い。主の身体は……たかが、この程度の事で……。この女平常からベタベタと英傑どもに触られてよく平気だな……いや、平然ではなかったのか? 俺が触れても主はこのように感じる、のか……?)」
 
 他人に触れられる事が皆無である忍は、素肌を撫でまわされる感覚に戦慄いた。
 独神の身体は己の物とは異なり敏感で、必死に耐える必要があった。
 
「(私の身体をまじまじ見るなんて無かったけれど、もっとこの辺の肉付きを減らしたいわね。……まあ、出来るかどうかは別なんだけれど)」
「(体験して判ったが、主は弱い所が多いようだ。……この弱み、いつか主に試してみたいものだな)」
「流すよー」
「御随意に」
 
 独神の丸洗いは終わったが。
 
「……それで、私、つまりハンゾウの身体はどうすればいい?」
「なら何もするな」
「えー……。いや、普段はそれでいいでしょうけれど、私この身体で寝るのよ。一日の最後くらいは綺麗になりたいのだけれど……」
「最初から選択肢がないのなら好きにしろ」
「……じゃ、じゃあ、勝手に洗っちゃうよ?いいの?」
「二度も同じ事を言わせないで下さる?」
「判った。ごめんなさい」
 
 独神は何度か息を吸って、吐いて、意を決して今の自分の身体に触れた。
 異質な身体。自分とは違う肌。引き締まった四肢。そして一番己と異なるのは──。
 
「ふ、ふぇ」
「どうした」
「い、いえ。……こういう身体を見慣れていないもので」
「下らん。忍の生き死にも、また身体をどう扱うかも、仕えた主に左右される。だから、主は何も気にする必要はない。好きに扱えば良いのよ?」
「……。そういう言い方は気に入らない」
 
 忍達全員に共通する『己を駒と捉え、捨て鉢のように扱う』言動に反抗し、独神はこれでもかというほど丁寧に洗った。
 身なりが綺麗すぎたならば隠密任務に支障をきたすのではなかろうか、という考えに至ったのは身体中を綺麗にした後であった。
 もうどうしようもない事だ。
 
「よし、じゃあ手を繋いで。誘導するから二人でお風呂に浸かるわよ」
「それが必要なら付き合おう。これは主の身体だからな」
 
 何十人もの英傑が入れる大型の湯船に、二人はぽつんと入った。
 普段ならばわいわいがやがやと騒がしい風呂が水音しか響かない。
 
「変な感じよね。折角あなたとお風呂に入れたというのに、目の前の人物はどこからどう見ても私だわ」
「俺はただの暗闇だがな」
「そうだったわね……少しじっとしていて」
 
 独神はハンゾウの目隠しを取った。ハンゾウは独神の顔を窺う。
 
「良いのよ。どうせ、そちらから見えるのは自分であって、独神の私ではないもの。それに、ハンゾウなら私の意向に大きく背く事はしないでしょ?」
「それはどうだか」
「しないわ。ハンゾウは私の忍だもの」
「……俺の声で生温い言葉を吐くな」
 
 独神らしからぬ沈んだ声で凄むが、本物の独神には意味をなさない。
 
「そういえば、いつの間にかいつもの口調なのね」
「主しかいないからな」
「別に誰かがいたって良いじゃない。みんな事情を知ってるのに」
「俺がどんな口調だと構わないだろ」
 
 執務室にいた時とは違い、ぶすっとした仏頂面を見せている。
 今は気を張っていないのだろうと思い、独神は言うなら今だと思った。
 
「ハンゾウ……あのね……。あなたの事だからきっと、必要なこと以外私に言わないのだろうけれど。……困っている事があったら、なんでも言って……ね? 頼りないと思っているのだろうけれど、これでもあなたの主だから」
「何か言われたか」
「少しね」
「誰だ……と、聞いたところで貴様は答えないのだろうな」
 
 独神はハンゾウ姿のまま微笑を浮かべた。いつもの事である。
 
「俺の心配なんぞ不要だ。貴様は己の目的のみを見据えていろ。その為の忍だ」
「私はそう思っていないけれど?」
「……また貴様は」
 
 ハンゾウはわざとらしく大きく息をついてみせた。
 そんな態度にも独神は屈しない。動じない。
 
「八百万界を救い、八百万界に住まう者を救うのが独神の使命。幸せにしたいのはあなたもなんだからね」
 
 少し黙って、ハンゾウは返した。
 
「……俺の顔で言うな」
「え!? そんな事言われても」
 
 焦りでわたわたと狼狽すると、ハンゾウに少し笑われる。
 
「全く。俺の主はいつも変わらず生温いな。そんな事を言ってこの動乱では生き抜く事など不可能だ。……まあ、優秀な忍が傍に控えていれば、話は別だがな」
 
 今度は独神が黙る番だった。
 
「安心しろ。主の願いは、必ず叶えさせてやる」
 
 迷いなく断言してみせるが、実際の心中は……。
 
「(と言っても、戦は何が起こるか判らないものだ。この身を代償に主の悲願が達成できると言うならば……)」
 
「……そうね。託された想いに報いるためにも必ず与えられた命は果たすわ」
 
 頼りにしているからねと、言いながらも、
 
「(私の犠牲だけで、全てを終わらせないと)」
 
 二人は互いを見据えて小さく笑った。互いの思いは似て非なるもの。
 
「……全く、主と関わると厄介事にしか巻き込まれないな」
「私は今回の事があって良かったわよ。でなければ、あなたとこうしてのんびりお風呂に入るなんて出来なかったもの」
「……そうだな」
 
 護衛として傍にいる事はあれど、何かを共に体験する事はない。
 
「ねえ……平和になったらハンゾウは……。いや、やっぱりいい」
「平和になったら、俺は……なんだ」
 
 己の声だからから、普段よりもハンゾウの感情がよく判るような気がした。
 柔らかくて温かな声色に促され、独神は一度は仕舞った言葉を投げかけた。
 
「……あなたの主でなくなっても、こうしてお話ししてくれる?」
「貴様が俺の敵に回らなければな」
 
 独神が戦に身を投じなければと言っているのだ。
 
「だが、もっと簡単な方法がある」
「……それは、なに?」
「主が世を平定したら教えてやる」
「今聞きたい」
「忍がただで情報をやると思うか?」
「今のあなたは"独神"じゃない」
「"独神"こそ、全てを俺に言わないだろう。だから、そういう事だ」
「はいはい。……あなたはどんな姿でも、呆れるくらいあなたね」
 
 独神はあっさりと引き下がった。
 
「(主がもしも、今日の事を覚えていたのなら、その時は……俺も覚悟を決めよう)」
 
 ちゃぷちゃぷと波立たせる遊びを始めた独神を見ながら、ハンゾウは小さな決意を固めた。
 
「さて。名残惜しいけれど、そろそろ出ましょうか」
 
 独神が立ち上がると同時にハンゾウも倣った。
 さっさと脱衣所へ向かっていく。
 
「気をつけろよ。主はそそっかしいから、いくら俺の身体でも」
「判っている、わっ!?」
 
 傾く身体に気づいたハンゾウであったが、愚鈍な独神の身体では庇えない。
 多少なりとも痛みがないようにと、腕を引いてみたものの非力すぎて引き上げられない。
 結局共に倒れる事になった。
 
「っ……貴様、いい加減にしろ」
 
 ハンゾウは本日一度目の痛みを堪えた。
 
「ごめんなさい……。ん?」
 
 独神は組み敷いてしまったハンゾウを見下ろした。
 見つめ合う二人。
 
「主」
「ハンゾウ」
 
 独神はそっとハンゾウの顔に触れる。
 
「……はは、本物のハンゾウだわ」
 
 好き勝手触れられながらハンゾウは目を閉じた。
 
「感動するのは自由だが降りろ。見ないようにはしてやる」
「…………!!!」
 
 独神はばっと飛び降りると両手で身体を隠した。
 
「先に出ていろ。貴様の身支度が整ったら俺が出る。異論はあるまい」
「ありまひえん!」
「落ち着け。次は床と入れ替わる気か?」
「しません!……着替え終わったら呼ぶから。ちょっとだけ、待っててね?」
 
 先程こけたばかりだというのに、独神は全速力で駆けて行った。
 扉の音を耳にしてから、ハンゾウは目を開けた。
 やる事もないので、折角の機会だからと風呂に入りなおす。
 
「(主に押し倒されるなど本来屈辱でしかないが……。なかなか貴重な体験だと思って許してやろう。……タンバがどんな反応を見せるか楽しみだ)」

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