真珠の祈り

海で死んだ友人がいた。
戦に勝った祝いに「魚を獲ってくる」と言って出かけた。大きなことばかり言う奴であった。
三日経っても姿を見せなかった。
後日、他の船が見事な大魚を釣った。「もしかすると、あいつを……」という話になった。
だったら皆で食べてやろう、ということになった。彼奴も本望だろうとな。
すると腹の中から真珠が出てきた。
「あの馬鹿、最期まで良いものを見つけてくれたな」とみんなで笑いあったものだ。
儂はその真珠をずっと持っている。
海を見る時、少しだけ切なくなるが、同時に彼奴らしいとも思う。

じゃあ私も、真珠になる。
真珠って、貝が大切に育てるんでしょ?
にこにこ。
期待されて悪い気はせぬが……。
真珠はね、時間をかけて少しずつ大きくなるの。急には出来ないんだって。
だから、ゆっくりでいいよ。
……。
……えっと、ヌラリヒョンの思い出を穢したいわけじゃないよ。ただ、そうやって想っている姿に、私は少しだけ胸が痛くなる。私はちゃんと覚えててもらえるかなって。ヌラリヒョンはこの先も過去が増えるばっかりで、私もへたしたらすぐ過去になって消えちゃうでしょ。
……其方は儂より、一日だけで良い。長生きしてくれ。
いいけど、死ぬまで私のこと想ってくれなきゃ駄目だよ?
それは容易いなぁ。任せてくれ。


お題をお借りしたサイト→Amaranth

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