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ツクヨミ
「主(あるじ)ちゃん! ……って、なんで逃げるのよ!」
「いえ、逃げておりません。ツクヨミ様」
「身体があっち向いてるじゃない!」
ご存知、月の化身ツクヨミは食べ物を爆弾に変える大魔術師である。
「だ、大丈夫よ! 死なないから! 今回は味見をしたわよ!!」
「……。判った。ツクヨミを……信じるよ……!!」
派手さはない濃紺色の包みを開けると、血代固っぽい血代固が入っていた。
煙は出ていない。異臭もない。
独神は胸を撫で下ろし、ほいと口に入れた。
「ほ、ほら、生きてるでしょ!?」
顔を覗き込んできたツクヨミに、独神は小さく笑った。
「お、おいしいよ……とっても」
「顔が死んでるわよ!!! ちょっと起きなさい!」
べしべしと、頬を叩くが起きるはずもなく。
結局水甕の水をがぶがぶと飲み下して、独神は意識を取り戻した。
「あー、美味しかった。…………あ、いえ、血代固の事です」
「べっっっつにい、いーーわよ。全部食べてくれただけ、良しとしてあげるわ」
「ありがとうございます」
何度か昇天しかかったが、独神は無事ツクヨミの殺人血代固を食べ終えた。
椅子に座り、たぷたぷになったお腹を休めていると、隣の椅子で足をぷらつかせながツクヨミが伏目がちに聞いた。
「……今日は、沢山血代固もらったんでしょ。ワタシ以外にも」
「まあ。割りと、もらった……かな?」
「キーー! 腹立つわーー!!!!
机を叩き、ツクヨミは奇声を上げながらまき散らした。
「主ちゃん主ちゃん主ちゃん主ちゃん主ちゃん!!!!
ばーかばーかばーかばーか!!!
なんでよ! どうしてよ!! なんでこんなに好きにさせたくせに、ワタシの物にならないのよばか!!!
ワタシの何処が不服だってのよ! 夜の神よ! 月の神よ! 一日の半分をあげるっていってんのに!!!
半分もよ!!! これがどれだけ凄い事か判ってるんでしょ!!!
それなのにどうしてワタシの気持ちを無視し続けるわけ!??!!!
ほんと、信じられないんだけど!!!!」
うん、うん、と小さく首を振りながら、独神は黙って罵声を浴びた。
それが独神に出来る謝罪だからだ。
独神とて、このような扱いは若干理不尽だと思わなくもないが、
こういう時は黙っているのが正解だと何人も怒らせた経験で学んでいる。
「主ちゃん! 聞いてるの!?」
「聞いています」
「悪いと思ってる!!!?」
「思ってます」
「じゃあ何が悪いか言ってみなさいよ!!」
「……」
「判ってないじゃない!」
これを何度か繰り返した。
アシヤドウマン
「愛とはもっと情熱的で退廃的なものだ。
己も相手も焦がし尽くしてようやく、愛と呼べるのであると」
正装服で迎えたアシヤドウマンが持っていた一輪の薔薇が一瞬で炭になった。
塵が風に吹かれて辺りに広がっていく。
「こうやって愛を囁くのも、もう何度目になるのだろうな」
小さな式神たちがふわりと集まり律儀に数字を教えてくれようとするが、
主に手で散り散りにされた。
「だがオレの心は折れてなどいない。むしろ、この一年で温めていたからな」
アシヤドウマンは独神の目を見て言った。
「主人(あるじびと)。もう他の英傑がいても許してやる。
だから、オレを選べ。オレが一番だと言ってくれるのならば、オレはその愛を疑わないと誓おう」
最初、今すぐ自分を選ばないと世界を滅ぼすと言った。
その次は、世界を滅ぼすのは勘弁してやろうと言った。
そのあとには、そこまで言うなら世界に秩序は残してやろうと言った。
何度も何度も要求を下げていき、それがとうとうここまで下げられたのだ。
けれど、独神は今回も首を横に降った。
「オレにここまで妥協させておいて、まだ足りないのか!?」
「前にも言ったでしょう。私は誰かのものにはならないって」
独神がいくら断ってもアシヤドウマンは聞き入れない。
だからなんだと言って、諦めない。
「いっそ術で操り、オレだけを愛するように仕込んだ方が早いのではないか」
「それは困ったことになりそうね」
困ったどころではないのだろう。
独神は笑っていなかった。一方アシヤドウマンは肩を竦めて小さく笑う。
「……主人がただ美しいだけの人なら、オレもここまで狂う事はなかったんだがな」
独り言のようにか細いぽつりと言うと、またすぐに不敵な笑みを浮かべて独神を指さす。
「貴様もオレと同じ。必ず己の欲を叶える者だ。
野望を果たさんとするその姿勢は認めている。だから、オレも我慢してやる」
「それはそれはありがとうございます。
……八百万界を救う使命だけは、必ず達成してみせるよ。何があっても」
「だろうな。貴様はそういう奴だ。
……だが、偶には良いのだぞ。脇目を振り、オレに愛を乞うても。
オレが全てをかけて癒してやる。……どうだ?」
独神の手を取った。しかし独神の手はするりと逃げていく。
「いい。今は平気」
「つれないな……。仕方ない。今日は引いてやる。いや、今日も、だな」
シュンカイ
「シュンカイ! やっぱりここだったのね!」
空き部屋を借りて、ひとり囲碁の世界に没頭していると、その人は突然障子を開けて飛び込んできた。
「独神様? ……今日の見回りは私ではないと思うが」
「任務じゃないわよ」
そう言って、にこにこして差し出してきたのは紺色の包みだった。
「はい。ばれんたいんの血代固。いつもお世話になっています」
シュンカイは一瞬言葉を失った。
「……ありがとう、ございます」
「折角だから開けてみて」
言われた通りに包みを開けると、指くらいの小粒血代固が沢山入っていた。
「あなたは甘いものが好きだから、他の子より少し多めにしたの」
甘いものが好きと独神に伝えたのは、確か日記の中だけの事だ。
「それに、碁の最中にも、読書中にも小さい方が摘まみやすいかなって」
シュンカイの普段の行動を知っての配慮。
数多存在する英傑の中の一人に対しての心遣いに、思わず胸が高鳴った。
自分は独神の中にちゃんといるのだという実感。
「独神様。ありがとう。とても心が籠った贈り物で……その……気持ちを上手く形容出来ないな。
伝えたい時に限って言葉が出てこない。普段浴びるほど言葉を見てきているのに」
自分が抱いた気持ちを正確に、そして判りやすく伝わる言葉。
これだという言葉を見つけても、またすぐに別の良い言葉が浮かんできてきりがない。
「……本当に嬉しく思っているんだ。ありがとう」
「どういたしまして。これからもよろしくね」
「世話になるのは私の方だと思うがな。だがお受けしよう。独神様のお望みなら何であろうとも」
「ありがとう。それじゃ、碁の邪魔してごめんなさい」
独神は障子をすっと閉めて出ていってしまう。
あまりにあっさり行ってしまい、惜しむ気持ちが時間差で襲ってくる。
シュンカイが考え事をしていると思って、気を遣ったのだろう。
確かに間違ってはいないが、独神は例外だ。何があっても優先する。
けれど、そんな気持ちを伝える間もなく行ってしまった。
「もっと上手くこの気持ちを伝えたら、違う結果があった……と後悔しても遅いな」
タマモゴゼン
「また今年も駄目であったか……また来年じゃの」
つまらなさそうに言うタマモゴゼンの足元には、独神が顔を真っ赤にしてわなわなと震えていた。
九尾の狐が落とした相手は数知れず。
種族を問わない百戦錬磨のタマモゴゼンの手練手管の数々に恋愛経験値の低い独神は今年も耐えきった。
「ら、来年……!?」
「なんじゃ、もう悦んでおるのか。主(あるじ)殿は焦らされるのがお好きなのかのう」
「(か、勘弁して……)」
「……唇に先程の血代固が残っておる」
タマモゴゼンの指が独神の唇を拭い、ぺろりをその指を舐めた。
「……その熟れた唇を食ってやれば良かったか?」
「いえ! 拭いて下さり有難うございました! もう大丈夫です!」
「んふふふふふ。主殿は面白いのう」
「ははっ……どーも……」
独神は心底疲れた様子で返答した。
「さて、主殿はあと何十回耐えられるか……。そなたはどう思う?」
「何十回!? そ、そんなに長く続けるおつもり……なのでしょうか?」
悲鳴に近い声をあげる独神とは裏腹にタマモゴゼンはきょとんとしている。
「ん? 独神は人族のように寿命が短くあるまい?
そんな軟な生命力ではないぞ。主殿の輝きは」
一部の隙も無く手入れされた美しい指が、独神の乱れた合わせ目を辿り、胸を突いた。
「だから、何年も何十年も、たっぷり愛してやるぞ?
ふふ、数百年、数万年と、わらわが骨抜きにしてやるから覚悟するのじゃぞ……コンコン」
ヤヲビクニ
「私も、皆と共に血代固をおつくりしましたの。宜しければ貰って頂けないでしょうか」
「じゃあ交換ね。どうぞ」
二人はそれぞれの血代固を相手に渡した。
「ありがとう。後で頂くわね」
「はい。私こそ、わざわざありがとうございます」
「血代固どうだった? なんだか炊事場……結構凄かったって聞いてるけれど」
言葉を濁して聞く独神に、ヤヲビクニはくすりと笑った。
「ええ。とっても。
大変でしたよ……乱闘騒ぎ、火事、材料不足と。
ですがいつもの事です。毎日、本殿で起きているあれやこれやと」
「……まあ、そうかも。賑やかだものね、ここ。賑やかすぎるとも他の英傑によく言われるわ」
賑やかといっているが、実際本殿は煩い。煩すぎる。
静寂を好む英傑に気が狂うとまで言われるほどである。
本殿内の騒音問題は、些末なようで意外と大きな問題なのだ。
「私はそれほど嫌ではありませんわ。
私が不老不死であると知っていて、変わらず接して下さるだけで、私は十分でございます」
死を知らぬ神族や長寿の妖族、年齢不詳の一部の人族。
「私よりも長い時を生きた者がいる中にいるとほっとするのです。私は特別ではなかったのだと。
これも主(あるじ)殿のお陰ですよ。其方がどんな者も受け入れる器があったから、こうして私のような道を外れた者が生活できるのです。
今回の血代固は、そういう感謝も込めた贈り物ですわ」
不老不死の尼は、儚い笑顔でそう言った。
「私の方はそこまでの意味を込めてなくて申し訳ないわ。
手を貸してくれてありがとう、とか、
一緒に生活してくれて嬉しい、とか、
最近食べさせてくれたご飯美味しかったよ、とか、
そんな日常の感謝を詰め込んで作ったの」
「いいえ。十分ですわ。貰い過ぎなくらいです。
でもそうですね……。もし、もう少し私の事を考えて下さるのであれば……」
そっとヤヲビクニは独神の瞳を覗き込んだ。
「主殿も、これからも生きていきましょうね……?」
「どうしたのいきなり」
引きつった顔を素早く戻し、独神はおどけてみせた。
それを全て見た上で、ヤヲビクニはおかしそうに笑う。
「私、人を驚かすのが得意なのです。歳を取らぬ女と周囲の村では恐れられたもの故に」
「……ははっ。確かにちょっとどきっとしたね」
「ふふ。成功ですね」
独神は次の子に渡しに行くと言って、その場から離れた。
逃げるようにも見える小さな背中を見て、ヤヲビクニは呟いた。
「この命を捨てたくて仕方がない私が、主殿に生を捨てさせないようにするのは独善かもしれませんね」
スクナヒコ
「スクナヒコには、お酒入り血代固です」
なかなか苦労したと、独神は感慨深く言った。
「良いんじゃねえの。去年も美味かったよな」
「そう言っていたから、今回は更に改良したのよ。
血代固と合うお酒を探したり、血代固の方を変えたり。
次回の参考にしたいから、後で味の感想教えてね」
「そうだな。……お頭がおれの晩酌に付き合ってくれたら、その時たっぷり教えてやるよ」
「判った。明日の晩ならまだ空いてるから、そこで」
「おういいぜ。……で、おれからは血代固じゃなく酒だ」
どんっ。
独神の前に一升瓶が置かれた。
「酒造の神であるこのスクナヒコ様が直々に造った酒だぜ。
……こんな事普通の奴は拝む事すらできねえんだ。
それをアンタの為だけに造ったんだからな」
「わあ! 凄い! ありがとう! どんなお酒なの?」
「すげー飲みやすくて、すげー酔いにくい。……夜中一人で酒を飲みすぎる奴にはうってつけだ」
お酒に喜んでいた顔が固まった。
「……やっぱり皆にばれているのかしら?」
「ばればれだろ。しかも一人酒ってなんだよ、呼べよ馬鹿。寝てても起きてやるから」
「いやはや、反省会してて眠れなくなると……つい」
「だと思ったよ。ほろ酔いで止まるように弱くしてっからな」
酒好きとしては、悲しみに溺れる為の酒は気分が良いものではない。
「ったく、聞かれたくねえ事なら聞かねえから、落ち込む時はおれ、いや誰でもいいから誰かを呼べ。
抱えてたって仕方ねえだろ。お頭の場合大体どうしようもねえ事なんだから。
ち、チビでも、……いややっぱチビじゃねえけど、アンタの事はいくらでも癒してやる。
……だから、落ち込む夜はおれを思い出せ」
心配しているからこその厳しい口調で、独神に言った。
「……私、誰かがいると絡んじゃうんだけど?」
「良いってことよ。絡み酒上等。おれが最高にうぜー絡み方を見せてやるよ」
「どっちが酷いか勝負ね」
独神がふざけてみせると、けらけらとした笑いが返ってくる。
「おっと、時間取らせたな。じゃ、明日の夜な、忘れんじゃねーぞ」
「忘れないわよ。じゃあね」
ホクサイ
「ホクサイ、今良い?」
自室に籠っていたホクサイは、いつもと同じく絵に没頭していた。
声をかけた独神の事を見もしないし、返事もしない。
「……ここ、置いておくわね」
汚い部屋の中で若干ましな入口を少しだけ片付け、顔を見せた床板の上にそっと血代固を入れた箱を置くと、丁度その時ホクサイが独神を見た。
「独神!? アンタそこで何やってんだ」
「ちょ、血代固……。渡しに来た……の」
突然の大声と、床の物を踏みながらやってくる剣幕に驚き、独神はしどろもどろに答えた。
「血代固? なんだそれ」
「今日はばれんたいんという日で、お世話になった人や好意のある人に渡す日なの。
あなたは初めてだと思うけれど、今日までに誰かから聞かなかった?」
「いや。今は大作に忙しくってな。あんま話してねえな」
ホクサイがさっきまでいた所にはぐしゃぐしゃに丸められた紙がいくつも転がっている。
「まあ、まずは受け取って下さいな」
「おう。なんだかよくわからねえが、ありがたく貰っとくぜ」
箱を包んでいた青い布にホクサイは注目した。
「……これ、なんでこの色にした」
「あなたの絵の色だったから……。ベロ藍で染屋にお願いしたの」
「そうか……。ならその染屋の場所後で教えてくれ」
「ええ、判ったわ」
珍重な物言いをしたホクサイは、今度は布と解き、中の箱を開けた。
「これが、血代固とかいうやつか」
「そうよ。……あ、血代固って形は自由に作れるの。
私は丸くしたのだけれど、他の子はもっと細かいものとか。
あと味で色も違うし、中に果物や木の実を入れたりするのも自由なのよ」
「……」
独神の説明に全くの無反応を示すホクサイ。
そんなホクサイを窺っていると、突如ホクサイは叫びだし、部屋の奥へ戻っていくと一心不乱に筆を振るい始めた。
少し待っていると、「出来た!」と言って独神に書き上げたばかりの絵を見せに来た。
それは独神が作った血代固の絵だった。写実的な絵ではなく、ホクサイの目を通して見えた世界がそこにあった。
「なんだか凄い絵ね。渡した血代固からこんな印象を受けたの?」
「いや、全然違う。アンタからくれた物の方が美味そうだし、綺麗だ」
そう言って、描いたばかりの絵を後ろに放り投げた。
紙ははらりはらりと飛んでいく。
「アンタがくれた物だから、食っちまう前に絵の中にちゃんと閉じ込めておきたかったんだが……どうにも上手くいかねえな。何が足りねえんだか」
「絵についてはあまり判らないから、なんとも言えないけれど。
気にせず食べてよ。食べたいと思ってもらえたならまた作るし、来年もまた渡すつもりだから」
「俺はアンタから初めて貰った血代固を絵にしてえんだ。……って、独神に言っても仕方ねえな。
俺の力不足だ。俺が描ききれねえってのはアンタがそれだけ、この芸術品に魂を込めてるって事なんだろうな。
分野は違うが嫉妬しちまうな」
心底悔しそうにするホクサイに、慌てて独神は否定した。
「そんな大層なものじゃないわ。私は料理が得意なわけでもないし。
あなたがそう思ったのは、私の血代固のせいではなくて、あなたがそれだけ……。
それだけ……。その、……喜んでくれたって、事で……って自惚れね。忘れてちょうだい」
「それだ!!」
がしっと、独神の両手を掴んだ。
「ありがとな独神! 次の絵が描けそうだ!」
「良かった。じゃあ、私は次の子に渡しに行って来るから」
と、言っている独神の言葉はもう聞こえていないようだった。
筆が紙を滑る音ばかりが聞こえる。
テンカイ
「主(ぬし)様。いえ、用件は存じております。ですからお受けする事は致しません」
何を言い出すのだろうか、この僧は。
「……どうして? 甘いもの嫌いじゃないでしょう? 飽きたの?」
「いえ、そう言う意味では御座いません」
じゃあ何だというのだ。理由をまず言って欲しい。
だが、相手はテンカイ。きっと答えない。
「……じゃあ部屋に置くわね」
「結界で閉じております。いくら主様とて入室出来ますまい」
「じゃあ、ここに置いておくわ」
「いいえ、持ち帰りません」
きっぱりといい放つテンカイに独神は混乱していた。
「なんで? どうしちゃったの?
体調が優れないのならばアカヒゲとか、呪術が良いなら適任者に頼むけれど?」
「それは全くの見当違いで御座います」
会話が進まなさ過ぎて頭を抱える。
「……そんなに嫌なら、後日渡すわ」
「ではその際は今日のチョコもお持ちください」
「え!? 駄目よ。おなか壊したらどうするのよ」
「壊れません」
「て、テンカイ! 意味不明なのはいつもだけれど、今日はいつも以上に判らないわよ!」
「判らせる気がありませんので」
「この会話の意味とは」
「意味はあります。長引けば長引くほど、主様が私だけに構って下さるのですから」
独神は頭の中で、テンカイの言葉を繰り返した。
自分だけに構ってくれるから。
なんて、テンカイはそんな事を言う人だっただろうか。
「おや、お顔が少々赤いようですがお風邪を召してしまったのでしょうか」
「……判ってるくせに……あなたって……」
ただただ遊ばれただけのようだ。
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