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「ほう。手前が四課に配属になった新人か」
警察署の廊下で、新人の女は緊張しながら挨拶をした。向かいに立つ男は、どう見てもヤクザにしか見えない。角のような髪型、鋭い目つき、スーツの上からでも分かる筋肉質な体格。
「俺がオオタケマルだ。手前の直属の上司ってなァ」
低く太い声が響く。新人は内心で「この人、本当に警察官?」と思いながらも、姿勢を正した。
「よろしくお願いします!」
「声はでけェな。まァ、それだけじゃ使いもんにならねェが」
オオタケマルは薄く笑うと、新人を連れて奥の部屋に向かった。
「まず最初に教えておくがなァ、ここは他の係とは違う。相手は暴力団だ。甘い考えでいると命に関わるぜ」
部屋に入ると、オオタケマルは分厚いファイルをテーブルに置いた。
「これが俺たちの管轄内の組織図だ。どこの組がどんな商売してて、誰が仕切ってるか、全部頭に叩き込め」
ページをめくりながら説明する手つきは慣れたものだった。組織の相関図、幹部の写真、資金源の流れ。想像以上に複雑で、新人は必死にメモを取る。
「メモしてどうすんだよ。頭に入れろつったろ。大変だろうが、手前がここでやっていけるかどうかの最初の関門だ」
「はい。頑張ります」
「ここじゃ頑張るだけじゃ意味がねェ。結果を出すか出さねェか、それだけだ。手前にその覚悟はあるか?」
「あります」
「ほう。まァ、口だけなら誰でも言えるがなァ」
数時間後、基本的な説明が終わると、オオタケマルは腕時計を見た。
「今日はここまでだ。明日から街に出る。実際に見て回らねェと、紙の上の知識じゃ使えねェからな」
「街に、ですか?」
「そうだ。まァ、手前がどこまでついてこれるか見物だぜ」
立ち上がりながら、男は振り返る。
「一つ覚えておけ。この仕事は信頼関係が全てだ。俺を信用できねェなら、明日にでも人事に異動願いを出すんだなァ」
翌日、約束の場所で待っていると、オオタケマルが現れた。今日も完全にヤクザスタイルだ。
「遅刻しねェのはいいことだ」
繁華街を歩くと、すれ違う人々の反応が面白い。明らかに道を避ける者、丁寧に頭を下げる店主、遠くから見て慌てて店に引っ込む者。
「見たか? これが俺の『営業成果』ってやつだ」
オオタケマルは満足そうに笑う。
「手前もいずれはこうなる。ただし、生き残ればの話だがなァ」
「すみません、あの……」
新人が声をかけると、オオタケマルは振り返った。
「なんだ?」
「皆さん、オオタケマルさんを怖がってませんか?」
「当たり前だろ。俺を怖がらねェような奴は、もっと怖ェもんを抱えてるってことだからなァ」
そう言ってオオタケマルは薄く笑った。
「心配するな。手前も慣れりゃ判る。恐怖ってのも立派な『情報』の一つだ」
パチンコ店の前で、オオタケマルは足を止めた。
「ちィと用事がある。手前はここで待ってろ」
「一人でですか?」
「そうだ。まァ、逃げ出したくなったら遠慮すんな。ただし、その時は警察官として終わりだと思えよ」
オオタケマルは店の中に消えていく。新人は外で待ちながら、中の様子を気にしていた。
三十分後、オオタケマルが戻ってきた。表情は変わらないが、何かを掴んだような雰囲気がある。
「どうでした?」
「まァまァだな。手前には関係ねェことだが」
歩きながらオオタケマルは続ける。
「この仕事はなァ、見た目が九割だ。俺がこんな格好してるのも、全部計算ずくよ。手前も覚えとけ」
「計算、ですか?(元々じゃなくて?)」
「そうだ。相手に俺を何者だと思わせるか、それが勝負の分かれ目だからなァ」
夕方、署に戻ると、オオタケマルは新人を振り返った。
「今日はお疲れさんだった。どうだ、やっていけそうか?」
「正直現段階ではよく判りませんが……」
「正直者は嫌いじゃないぜェ。嘘をつくような奴は使えねェからなァ」
オオタケマルは椅子に座りながら続ける。
「手前に一つ聞くが、俺のことをどう思う?」
「え?」
「遠慮すんな。思ったことを言え」
新人は少し考えてから答えた。
「正直、最初は怖いと思いました」
「ほう。それで?」
「怖いですが、多分それも必要なことなんだと思います。正義を掲げるだけではきっと、ここではやっていけないのかも……とか?」
「だーはっは! そりゃァ面白ェ答えだ」
オオタケマルは豪快に笑った。
「手前、案外見る目があるじゃねェか。そうだ、俺は怖く見えるように努力してんだよ。それが『商売道具』だからなァ」
この〝怖さへの努力〟は見た目に限らないことを、なんとなく感じ取っていた。
「明日からは本格的に始めるぜ。今日みたいな『見学』じゃなく、実際の仕事だ」
立ち上がりながら、オオタケマルは新人に向き直る。
「覚悟はできてるか?」
「はい」
「よし。それでいい。まァ、手前がどこまでやれるか楽しみにしてるぜ」
そう言ってオオタケマルは部屋を出ていった。
新人は一人残され、今日一日を振り返った。確かに怖い上司だが、周囲から高い評価を受けていることは聞かされている。あの人について行けば、きっと一人前になれるだろう。
そんな予感がした。
これは女の子が普通のやつ。
最初は女の子がイカれたのが思い浮かんだけど、この短さだと難しいからやめた。
潜入捜査でラブホに入ってみたり、キャバ嬢になったり、いろいろしよ。
龍が如くしよ。
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